『話が通じない相手と話をする方法』ピーター・ボゴジアン (著), ジェームズ・リンゼイ (著), 藤井翔太 (著), 遠藤進平 (翻訳)
書評
執筆責任者:コバ
本書のサブタイトルは「哲学者が教える不可能を可能にする対話術」である。タイトルが「話が通じない相手と話をする方法」という一見意味が掴みにくいセンテンスであることとサブタイトルの「哲学者」という部分が相まって「難しそうな本」という印象を持たれる方もいるかもしれない。しかし本書は読み易い文章でかつ実践で活かすことを前提として書かれており、コミュニケーションスキルを上げたいという方へのビジネス書としてもおすすめの本である。普段私はどちらかというと自己啓発書、ビジネス書には懐疑的な立場を取っているが、もしあなたが学校や仕事、その他社会生活の中で目の前の人としっかり向き合いながら円滑なコミュニケーションを取るための手法を探しているとすれば、闇雲にコミュニケーションスキルに関する本をあたるよりはまずは本書を手に取ってみてほしいと思う。人が社会生活を営む上で他者とコミュニケーションを取ることは避けては通れない。その中で、理由はどうあれもし「話が通じない相手」と「話をしよう」そう思ったのであれば本書はあなたの力になってくれるだろう。筆者は本書の大きなテーマとして「自分がまず変わる必要がある」ということを前提としている。私は自己啓発書、ビジネス書の欠点として「具体的すぎて応用が効きづらいにも関わらず言い切りや断言口調で書かれているせいで経験の浅い読者がその本の内容を実践した際に通用せず不利益を被る可能性が高い」ということを挙げているが、本書を手に取ろうとするような方はその点はきっと乗り越えてくれるだろうと思っている。なぜなら、自分を変えてまで話が通じない相手と話をしようとする想いを持てること自体が想像力の成せる技だからだ。
(714文字)
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