『理系人に役立つ科学哲学』森田 邦久 (著)
書評
執筆責任者:匿名希望
理系人に役立つ科学哲学,と聞いて,皆さんは,何を考えるだろうか?聞いた瞬間,どんな事が頭に思い浮かぶだろうか?日々の研究生活で多忙な理系人からすれば,自身の成果に繋がるような能力を,手軽に素早く,本書から得たいと思うのではないのだろうか,あるいは,そのように得られるどうかについて,気になるところではあるだろう.あくまで,私の所感ではあるが,結論から述べると,本書は,そのような内容を手軽に素早く得られるようなテクニック書では無いと感じる.しかし,本書は読者の期待を決して裏切るものではないと考えられる.本書は,読み手自らを考えさせるような内容となっており,即効的な効果のその先にあるような,効果が現れるまでには時間がかかるものの,研究において,より難題な問題にぶち当たった際の思考の道しるべになり,また,思考を巡らせる際に,絶大な効果を発揮するのではないかと感じれるような内容であった.また,本書による効果を得るまでには,本書の内容について,自分ならこう考える,というように自問自答し,日々の研究活動において試行錯誤する必要があると感じられた.自分が置かれた状況において,自分の頭で試行錯誤する,だからこそ,時間は掛かっても価値のあるものを得られる一助になるのではないかと感じられた.研究は,基礎研究と応用研究に大別され,分野にもよりけりだとは思うが,基礎研究の方が,何も分からないような状況の中を,0から自分で創り上げていく状況に直面する機会が多く,総合的には,応用研究よりも難易度が高いのではないかと感じている.そのような状況において特に,本書はその効果を発揮するのではないかと感じられた.本書を通じて,自分のなかにしっかりとした科学哲学を持っておくことで,自らの手で理論さえも創っていくような場面となった時,本書はその真価を発揮すると感じられた.本書を手に取った方々の健闘を心より祈る.
(799文字)
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