『イノベーション・スキルセット』田川欣也(著)
書評
執筆責任者:ingen
本書の著者はデザインファームTakuramの代表取締役であり、デザインエンジニアの田川欣也氏である。田川氏は日本政府の地域経済分析システム「V-RESAS」のディレクション、メルカリのCXO補佐など様々なプロジェクトを手掛けている。本書の冒頭で田川氏は今、世界で求められている人材とは、従来活躍していたBT型人材ではなくBTC型人材であると説く。BTCとはビジネス・テクノロジー・クリエイティビティの頭文字である。ここでいうクリエイティビティとは広い領域にわたるが、本書ではデザインにフォーカスをしている。BTC型人材が求められる背景には、第1次~第4次産業革命の流れがあるという。第1次産業革命は、機械の時代であり、モノの大量生産が可能になったと同時に、粗悪品も多く生まれた。これにより、見た目が良いモノへのニーズが生まれ、デザインが注目されるようになった。第2次産業革命では、電子や電気の文脈が加わり、エレクトロニクスを活用した制御技術が発達してきた。さらに第3次産業革命ではコンピュータが一般に普及したことでプロダクトと人間の間の複雑なインタラクションがデザインの対象となった。現在突入している第4次産業革命では、AIなどの最新技術も加わり、顧客体験をデザインするスキルが求められるようになった。以上の流れから、デザインは様々なモノに必須となったと考えられる。これは、ビジネス側の人もテクノロジー側の人も、デザインを中枢に添えてビジネスを構築せざるを得ない時代になってきたということである。ではそこで求められるBTC型人材とは何か?それはビジネス・デザイン・テクノロジーの三要素を組み合わせて、ブランド構築やイノベーションに貢献できる人材のことをいう。続く章ではクリエイティブな仕事をしたいビジネスマンやエンジニアがBTC型人材を目ざすための方法を提案している。興味のある人は一読してほしい。
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