『今日も、感謝します。』StylishNoob(著)
書評
執筆責任者:Bungeee
小学生の「将来なりたい職業ランキング」にはYouTuberがランクインし、テレビCMにも多くのYouTuberが出演している。今回紹介するのは、ゲームを配信するストリーマーStylishNoob(スタイリッシュヌーブ)による初エッセイ『今日も、感謝します』(StylishNoob KADOKAWA 2022)である。著者は、スタヌの愛称で知られ、日本で最も人を集めるプロゲーマー出身のストリーマーの1人である。本著では、著者のゲームとの出会いから、学校生活、家族との思い出、プロゲーマーそしてストリーマーになるまでを振り返る。著者は、小学生の頃からゲーム漬けの人生を送っており、休日には、朝3時から夜中の12時までゲームをしたという。一方で、「練習だけでは追いつけない何かがある」という部分や、海外選手の強さについて記す部分から、日本代表のプロゲーマーとして著者が立ち向かってきた「世界の壁」の高さを感じる。また、ゲーム「Overwatch」のロール(役割のこと)について、それぞれどういう性格の人が多いか述べている。おそらく多くのゲーマーが共感するのではないか。配信中にはなかなか語られなかったエピソードも満載だ。とりわけ印象深いのは、母親とのエピソード。著者が欲しいと言ったゲームは何でも買い与え、大学を中退すると決断した著者に対しても、怒ることなく受け入れる優しくておおらかな母親。さすがスタヌ、本名 関「優太」の母親である。母子対談の部分を読んでいると、胸がじんと熱くなった。最近は、プロゲーマーに関する悪いニュースを目にする機会が多い。プロゲーマーに対する印象が悪い人も多いだろう。しかし、この本を読めば、そんなプロゲーマーの印象ががらりと変わる。著者の配信を見たことがある人はもちろん、プロゲーマーやYouTuberを志す学生、そしてその親世代にぜひ手に取って欲しい1冊である。
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