書く瞑想

『書く瞑想』古川 武士 (著)

書評
執筆責任者:Hiroto
「書く」というと、論理的に脳みそで考えた文章を自己の外側に書きつけるような姿を想像されるかもしれない。「瞑想」というと、座して身体に意識を向け、静かに自己の内側と向き合うような姿を想像されるかもしれない。しかし、そのどちらも誤っている。正確に言えば、定義として狭いものになってしまっている。今回紹介したい本『書く瞑想』では、感情や身体から引き出された文章を書きつけ、手を動かしながら瞑想する方法について述べられている。まず本書の前提として、現代人は外部の環境から要請された問題解決のために思考を費やすがあまり、自己の感情や身体と向き合うことが難しくなっているということが仮定されている。これは大きく外れた仮定ではないだろう。この課題への処方箋としてビジネス書界隈では「瞑想」がよく挙げられるが、本書はその瞑想の方法として文章を書くことを勧めている。その中では感情や直感を論理で検閲せずにそのまま文章に反映させることが推奨されるが、これは慣れていないと意外と難しい。これはこれとして習得すべき技術であり、本書はその習得の助けになるだろう。しかし、本書はそのように書くための具体的なメソッドを提示するにとどまらず、その書く行為をいかに「継続する」かというところにも焦点を当てており、個人的にはこちらの方法論や心構えの方が参考にする部分が多かった。実は著者の肩書きは「習慣化コンサルタント」であり、本書で提示されるような書く瞑想も、そもそも人生の中に新たな習慣を取り込むことを目的として紹介されているのである。人間が何かを習慣にしようとする際にはついつい陥ってしまう罠がいくつかあるが、それにあらかじめ先手を打って潰しておくような工夫が多数提示されている。もしあなたの人生が何かうまくいっていないと感じるのであれば、改めて自分の感情に向き合うことで、凝り固まった習慣を根本から見直してみてはいかがだろうか。
(800文字)

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基礎教養部

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