暗黒の啓蒙書

『暗黒の啓蒙書』ニックランド (著), 木澤佐登志 (著), 五井健太郎 (翻訳)

書評
執筆責任者:匿名希望
この本は、表紙のサブタイトルである、民主主義と平等主義の欺瞞を暴け。資本主義を加速せよ。という表記から推測される通り、人によっては思想的に非常に尖っている捉えられると思われる内容となっている反面、人によっては、著者の言いたいことをそのまま言う姿勢と、綺麗事で包まれた現実社会において、歴史を通じて自明概念として作り込まれた部分に対して、非常に的確かつストレートに切り込んでおり、現代を生きる我々がいかに思考停止においやられ、この形作られた現代社会がいかに欲と嘘と欺瞞で満ちていたかを魂から気付かされる、そのような刺激的で、今後の自分自身の思考のOSのアップデートのための思考訓練になる、そのような素晴らしい内容となっている。ただ、本書の難点としては、やはり海外の本であるため、現地人なら当たり前のように知っている現地での歴史的情勢及びその背景、そして〇〇思想、〇〇主義、等の哲学の思想者の名称及び彼らの思想をしっかりと頭に入っていない状況では、読み進めるのに苦戦する内容であることは確かである。日本語訳版ではあるが、本文自体も少々難解であり、普段あまり読書をしない方にとっては分からない語句を調べ、意味を解釈しながらでも、読解に苦戦すると思われる。本書の紹介動画もあまり出回っておらず、本当にわからない箇所は、最初はある程度読み飛ばし、わかりそうな箇所は絞って何回も読み直し、なんとしてでも理解する、というような優先順位をつけて読むといったことも必要になる方も出てくると思われる。だか、本書で得られるものは、この苦労を上回るものだと考えられる。本書を通じて思考訓練を行うことで、世の中の様々な物事に対して、他とは違った視点で捉えられるようになるように感じている。本書を手に取る方の健闘を祈る。
(746文字)

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基礎教養部

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