古武術の発見

『古武術の発見』養老 孟司 (著), 甲野 善紀 (著)

書評
執筆責任者:Daiki
暇な時はYoutubeを見て過ごすことが多いここ最近の私の視聴履歴といえばもっぱら運動と食事である。私自身最近新たにスポーツを始めたということもあり、体を上手く使えるようになりたいという思いから「身体」に興味を持つようになった。体を動かす系の動画を幅広く見漁っていたせいか年中着物に袴姿で過ごすという武術研究家の甲野善紀氏と出会った。見ていて面白く甲野氏の考え方に触れてみたいと著書を読んでみることにした。『古武術の発見』は解剖学書である養老孟子と甲野氏による対談を書き下ろした本である。本書を読んで興味深いと思かかった三点を紹介させていただきたい。刀が今の形になったのは平安末期からだそうだが、それについての話をされる。平安末期から形が変わっていないということは刀というものを固定し、それを使う人の強さを測る物差しにしてきたということである。中国など他国の道具に対する価値観は日本とは大きく異なるがそれがなぜなのか一緒に考えることができる。次に言葉にできることには限りがあるということだ。特に武術においては言葉にして教えるということが非常に難しい。それは武術だけでなく他のことに置き換えて考えてみるとなるほどなとなることがあった。最後に自己を消失させて「我」が出てきたという話である。それにつながる話で、甲野氏が待ち時間を苦と思わない話や現代人がお墓を建ててまで、墓に入れて欲しいと思わないのはなぜなのかについては面白かった。養老先生の監修のもと甲野氏が書いた本であると思い込んでいたので、対談を本にしたものだと知り、一気に読むモチベーションが去ってしまったのだが、なんとか読破した。対談なら動画で見たいと思ってしまうのは、すでにYoutubeの沼にハマっているせいかもしれない。
(741文字)

追加記事 -note-

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

ジェイラボ
基礎教養部

コメント

コメントする

目次