結婚と家族のこれから

『結婚と家族のこれから』筒井 淳也 (著)

書評
執筆責任者:チクシュルーブ隕石
ほとんど全ての人間にとって「家族」という繋がりは非常に強い。その繋がりには親子、兄弟といったように血縁のものもあれば、他者と結婚することによって家族になるというもの、血縁の繋がりは無いが親や兄弟という関係となり家族となるといったものまで様々である。つまり家族になる方法、家族というものへの認識は人によって多様である。本書『結婚と家族のこれから』では、題名の通り婚姻による家族というものを対象に話がすすんでいく。家族という存在はそもそも互いにかなりの依存をした状態が普通である。それの源泉は古くは夫が仕事をこなす大黒柱、奥さんが家庭の仕事をこなすというように、明確な役割が互いに与えられていたことによる。しかし、時代が現代へと移り変わっていくにつれてそれらの役割も薄まりつつある。日本の経済状況が変化していることで大黒柱という概念が弱くなったのだ。そうした経緯で共働きという概念が登場し、男女の役割という枠組みを超えて互いを全くの平等と見なす考え方が台頭しはじめた。共働きの普及によって相手に経済的な自立を求める気質が高まってきた。相手に対して、精神的にも経済的にもより高いハードルを要求することを前提とする考え方が主流となった。そのような事情からこれまで以上に夫婦・パートナーに求める事柄は複雑に絡み合っている。その中で現代に生きる我々が結婚によって家族となる意味を考えていく必要がある。本書を読むことによって「家族」とは何か、「家族」に求めるものはなんなのか、また結婚をすることで「家族」になる意味は何なのかということを再考することで、自分の家族関係について見つめることができるのではないだろうか。
(793文字)

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